内在する叡智が姿勢を作る

蒲田時代、ほぼ全てのお客様の姿勢は、近隣の提携医院にて立位レントゲン撮影をお願いしており、骨格が重力下でどのようにバランスを取っているかを確認していました。

以下は、30代女性の立位姿勢を映した1枚です。

31歳女性_側湾

脊柱には明らかな側弯がありますが、注目すべきは骨盤部。歪みを「受け止めて」おらず、中立位に近いバランスを保っています。これは、骨盤が歪みを“逃がす”役割を果たす必要がないほど、全体としてうまく適応していることを意味しています。

また、頸部の歪みも大きくありません。この姿勢全体が、彼女のカラダがこれまでの人生で作り上げてきたバランスの表現であり、内在する叡智(イネイトインテリジェンス)が導いたものなのです。

仮にこの姿勢が、骨盤が大きく歪み、頭部が重心線から外れている状態であれば、身体はそれを補正しようと常に緊張していたことでしょう。ところが、彼女の場合は骨盤に余裕があり、この先さらに大きなストレスがかかっても耐えうるポテンシャルすら感じさせます。

私たちの仕事は、側弯を「治す」ことではありません。
大切なのは、その人のカラダが持っている本来のバランス力、生命力が十分に発揮されるよう、干渉しているものを取り除くこと。

内在する叡智は、干渉を取り除かれることで、まるで植物が太陽に向かって枝を伸ばすように、最良のボディバランスを自然にデザインし直していくのです。

私が信じているのは、その力を“邪魔しない”という考え方。
側弯があっても、健全な日常生活が送れるよう導くことが私の役割です。