頭を支える上部頸椎
人間の骨格は、頭部から始まり、首(頸椎7個)、胸(胸椎12個)、腰(腰椎5個)、骨盤、下肢へと続きます。
このうち、頸椎2番から腰椎5番、さらに仙骨までは、椎間板によって一本の棒のように連結されています。
それぞれの部位には異なる関節構造があり、動きの方向が制限されています。
一方、頭蓋骨と頸椎1番・2番の間には椎間板がなく、靭帯を介して連結されています。
この上部頸椎と呼ばれる部分は、頭部の回旋・側屈・屈曲・伸展といった動きの約50%を担っており、残りの動きは下位の頸椎が分担しています。
上部頸椎が担うバランス機能
胸椎には肋骨が付き、腰椎の前方には腹筋群が備わり、骨盤は上半身の動きの衝撃を受け止める役割を果たします。
これらが連動することで、人間は重力に抗い、二足歩行を可能にしています。
人間は、視覚情報や三半規管からの信号を無意識に処理し、24時間体のバランスを保っています。
たとえば、体が右に傾けば左へ戻し、前に倒れれば後ろへ引き戻す。
こうした無意識のバランス調整の要となるのが、頭の位置です。
頭部は体重の約8%(約5kg)を占める重い構造物です。
この重みをうまく重心に乗せることで、背中や腰への負担を最小限に抑えています。
上部頸椎がわずかにずれると、このバランスは大きく崩れ、骨盤や下肢にも歪みが連鎖的に及びます。
上部頸椎と神経伝達の関係
生命活動の司令塔である脳は、神経を介して体を制御しています。
その神経の通り道が背骨であり、上部頸椎はまさに神経伝達の最初のゲートとなります。
上部頸椎にズレが起こると
カイロプラクティックでは、脳からの神経伝達を健全に保つことを重視しています。
特に、上部頸椎にわずかなズレ(サブラクセイション)が生じると、
- 神経伝達の妨げ
- 姿勢制御の不良
- 脳幹機能の低下
といった問題が起こり、肩こりや腰痛、自律神経系のトラブルといった症状が現れることがあります。
他の脊椎・骨盤からの影響
また、上部頸椎だけでなく、他の脊椎や骨盤に問題がある場合も、順応的に上部頸椎へ影響を及ぼすことがあります。
体全体のバランスを総合的に見ることが大切です。
まとめ
上部頸椎は、単に頭を支えるだけでなく、
全身のバランス・神経伝達・生命活動に直結する非常に重要な部位です。
ほんのわずかなズレが、体調や姿勢に大きな影響を与えることを、ぜひ覚えておいてください。