姿勢のお話
「姿勢」という言葉には、外見上の姿勢(身体的姿勢)だけでなく、物事や問題に対する態度や向き合い方(精神的姿勢)という意味も含まれます。
まず、見た目の姿勢は他人からの印象に大きく影響します。たとえば、猫背の人はどう見えるでしょうか。肩を落とした猫背の姿は、後ろから見ると「疲れていそう」「老けて見える」「格好が悪い」といったマイナスの印象を与えがちです。
態度や考え方といった精神的な姿勢においても、ネガティブな印象はつきやすいかもしれません。ただ姿勢が悪いだけで、意図せずそのように受け取られてしまうことがあるのです。
また、悪い姿勢は見た目だけでなく身体にも悪影響を及ぼします。たとえば猫背の姿勢では胸郭が狭まり、呼吸が浅くなります。その結果、酸素の取り込み量が減り、動悸・息切れ・代謝機能の低下などが起こりやすくなります。ぜひ一度、猫背と胸を張った正しい姿勢とで深呼吸を比べてみてください。酸素の入り方に明らかな違いを感じられるはずです。
姿勢が崩れている方に多く見られるのが、顔とお腹が前に突き出た姿勢です。横から見ると、身体の重心軸より前に、体重の約8%(体重50kgの人で約4kg)といわれる頭部が出ており、それを支えるために肩の筋肉は常に緊張状態になります。この無意識の緊張が肩こりの大きな原因です。
さらに、頭が前に出ることでバランスを取ろうとお腹も前に出る「反り腰」になる場合や、腰の反りがなくなり(腰椎前弯の消失)動きが硬くなるタイプもあります。これらのタイプによって身体の不調も異なります。
反り腰タイプは、特に女性に多く見られ、骨盤のゆがみや骨盤内臓器の不調を引き起こしやすい傾向があります。一方、腰椎前弯が消失しているタイプは、坐骨神経痛などの腰痛が起きやすいです。
カイロプラクティック・アジャストメント
頭と背骨の接点である「上部頸椎」のズレ(変位)は、姿勢の重心バランスに大きな影響を与えます。頭の位置が重心から離れるほど、身体はそれを補正しようとしてお腹を突き出したり、背中を丸めたりと不自然な姿勢になります。その補正が連鎖し、最終的には骨盤にも歪みが生じてしまいます。
「骨盤が歪んでいるから上半身も歪む」とよく言われますが、実際にはその逆です。上半身の歪みによって骨盤がバランスを取るために歪むのです。これは、クルマのサスペンションが路面の凹凸に合わせて動くようなものです。イスに座ったときに無意識に足を組みたくなるのも、骨盤を使ってバランスを調整しようとする身体の反応なのです。
上部頸椎カイロプラクティック・アジャストメントによって、頭部が重心位置に戻ると、姿勢を補正するための過剰な筋肉の緊張が不要になります。すると、無理に力を入れずとも自然と正しい姿勢がとれるようになります。肩こりなどの慢性的な不調も、こうした負担の解消により軽減されていきます。
身体にとって無理のない自然な姿勢(肉体的姿勢)ができるようになると、ほんの少し意識を向けるだけで、立ち居振る舞いが洗練され、スマートで魅力的な印象を与えられるようになるでしょう。
呼吸が深くなり、身体の不調が改善されると、健康が回復し、心も穏やかになります。そしてそれは表情にも現れ、精神的な姿勢も変化していくのです。
姿勢とは、あなた自身の内なる生命エネルギーが表現された、美しい“作品”なのです。