冷え性とは
われわれが享受している現代西洋医学では、冷え性という病名も診断基準もありません。しかし、実際には手足の冷えを訴える人は多く、65歳以上では6割、75歳以上では8割の人が冷えを訴えるというデータもあります。高齢になるにつれて、生体機能が衰えるためです。特に女性に多く、更年期障害や生理不順などに伴い、自律神経のアンバランスも加わります。また、女性では骨盤内に子宮、卵巣などの臓器があり、下半身への血流が滞りやすいのです。
原因
運動不足、体脂肪過多、過度の冷房、ストレス、薄着、身体を締め付ける下着、身体を冷やす飲み物、喫煙などが挙げられます。
肥満を警戒するあまりか、少なすぎる食物摂取、バランスを欠く食事などによる新陳代謝低下による冷えもあります。
体温調節の鈍化
周囲の気温が下がると皮膚から脳に「寒い・冷たい」という情報が伝達されるため、皮膚にある温度を感じる神経の機能が鈍くなっていきます。
冷暖房が行き届いた生活により、夏も冬も室内と外の温度差が激しく、こういったところを出入りする生活を続けているために、気温の変化を感じる神経が鈍くなって、体が適応することが大変になってしまいます。
夏も冬もビールやジュースなど冷たい飲み物や食べ物をとるため、内臓の温度調節機能も鈍くなってしまいます。
ハイヒールなど体に合わない靴をはき続けることで、圧迫、締め付けにより、温度を感じる神経をはじめ、足先の感覚が鈍ってしまいます。
脳内の自律神経から、体温調節のための指令が身体の各器官に送られる自律神経がうまく機能しなくなってしまいます。
自律神経とは
⇒自分で意識することなく、身体を正常な状態に維持するよう働く神経のこと。
例えば、「眩しい所に行くと瞳孔が閉じる」や「ご飯を食べると胃が動き出す」のも自律神経の働き。
無意識のうちに自然に働いてくれる神経なんです。
≪他にも様々な役割をしています≫
抹消の血管の「拡張」「収縮」を支配しているものも自律神経の働き。
この働きが何らかの形で障害される事によって、血管の収縮が上手にいかなくなります。
自律神経は、喜怒哀楽などの感情をコントロールする神経中枢(交感神経、副交感神経)の影響を受けているため、強いストレスが続くと上手く機能しなくなることもあります。
自律神経は、女性ホルモンの分泌をコントロールする神経とも密接な関係にあります。このため、出産、閉経時などに自律神経のバランスが崩れ、冷え性になる女性が多いのです。
冷え性のほとんどがこの「自律神経失調タイプ」
皮膚の毛細血管が一時的に収縮し、皮膚からの体温の放熱を防ぐ血流が悪いため末端まで暖かい血液が流れにくくなります。
動脈硬化などが原因で血管が細くなり、末端の毛細血管に温かい血液が流れにくくなります。
静脈の流れが悪いため、動脈の血液が体中にいきわたる前に冷えてしまう。この状態を「静脈のうっ血」といい、手足のほか下腹部でもよく起こり、女性の腰の冷え性の主な原因になっています。
貧血(血液の量が少ない)、低血圧(血液を全身に流れさせる力が弱い)のため、温かい血液が毛細血管まで届きません。
血流低下タイプは主に、心臓のポンプ力の弱い「低血圧」の人や、「貧血」の人に多く。また、「運動不足」で筋力が弱っている人も血流は停滞しがちです。
こうやって見てみると、「冷え性」は主にその人の体質によるもので病気ではないということがわかります。