パーマーテクニック

1920年発行のGreenbook Vol.13『A TEXT BOOK on THE PALMER TECHNIQUE OF CHIROPRACTIC』には、B.J.パーマーがまだ上部頚椎に特化する前の施術理論と技術が記されています。

この書では、パルペーション(接触検査)やナーブトレーシング(神経追跡法)、フルスパイン(全脊柱)を対象としたアジャストメント手法が解説されており、後のガンステッドテクニックにも通じる実践的な内容が展開されています。

座位での検査や、当時の施術姿勢・手技の資料は、ストレートカイロプラクターにとって学びの多い一冊です。

座位でのパルペーション

ターグルハンド

Left Rotation of a L5

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ハンマーとネイルハンド

B.J.パーマーは、アジャストメントにおける「フォース(力)の侵入経路」や方向を精密に研究し、「リスティング」「ラインオブコレクション」、そして「ハンマーハンド」と「ネイルハンド」という施術における手の使い方に着目しました。

これにより、背骨のどの方向にどれだけの力を加えるべきかが体系化され、より正確で効果的なターグルリコイルアジャストメントが可能となったのです。

hammer and nail adjusting inferior and anterior

hammer and nail adjusting to the right and anterior

Body in position and hands properly placed ready to adjust superior

hammer and nail hand

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アジャストメントの探求

背骨は皮膚や筋肉に覆われており、外から直接見ることはできません。メリックシステムで対象部位を予想、姿勢を観察して、パルペーション(接触検査)で変位を割り出していた時代に、スパイノグラフ(レントゲン)で背骨の不整列を確認できることでより科学的な要素が加わり、アジャストメントの方向、強さ等の研究が進んでいきました。

ラインオブコレクション1

ラインオブコレクション2

ラインオブコレクション3

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レントゲンとカイロプラクティック

B.J.パーマーは1910年、構造的な背骨のズレを調べるために、世界で初めて脊柱検査にSpinograph(レントゲン)を導入しました。

レントゲン像

ナーブトレイシングで神経ルートを追跡し、メリックシステムで症状との関係を分析、そしてレントゲンで背骨の構造的なズレを視覚的に確認。こうして、カイロプラクティックの礎がこの時代に整えられていきました。

※ちなみに、X線が発見されたのもカイロプラクティックと同じ1895年です。

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メリックシステム

1908年にB.J.パーマーによって発表されたメリックシステムは、お悩みの主訴、例えば、坐骨神経痛で太ももの後ろ側に痛み、しびれ感があったとすれば腰椎の5番。心臓なら胸椎2番、胃に問題があれば胸椎5番というように、症状から推測される背骨の神経部位をターゲットに行われます。

ナーブトレーシング

ナーブトレイシング(神経追跡法)で研究された、症状部位との神経ルートに問題があるという考え方です。

神経図

カイロプラクティックは創始者D.D.パーマーが行ったファーストアジャストメント以来、手によって背骨のズレを正すことで健康を取り戻すことが行われてきました。なぜ、背骨を正すとお悩みが解決するのか。

ナーブトレイシング、メリックシステムは、実際に解決に向かわせたのです。

以下の記事もあわせてどうぞ:
背骨のズレと神経システム

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神経を介して活動する

脳と全身の細胞や器官は、神経を介して情報をやり取りしながら、生命活動を行っています。
生命活動を正しく制御するためには、常に正確な「情報」が必要です。

たとえば、目で見たものは瞬時に脳に伝わり、身体は反射的に反応します。耳で聞いた音は脳で理解され、喉の振動で言葉として発せられます。手で触れた感触も、神経を通じて脳に届けられています。

また、内臓の働きやウイルス侵入時の免疫反応も同様です。体内に異常が生じると、発熱、嘔吐、下痢など、生き抜くための生体反応が自動的に起こります。

これらすべての動作や反応は、神経を通して中枢に情報が届き、身体がその情報に応じた適切な行動を取っているのです。

ナーブサイクル

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背骨の間から神経は出てきます

背骨と神経システムの関係

頭蓋骨はを、背骨は脊髄神経を守る役割を担っています。
椎骨同士は椎間板によって連結されており、その間から末梢神経が全身へと伸びています。

この末梢神経のルート、つまり何番目の椎間孔から出た神経がどの部位に繋がっているかについての解剖学的研究は古くから行われており、現在では広く知られています。

背骨から末梢神経

メリックシステムは、このような神経の流れを「追跡」するナーブトレイシング(神経追跡法)によって、
どの椎骨がズレているかそのズレが神経系にどのような影響を与えているかを徹底的に分析し、カイロプラクティックケアへ応用するシステムです。

神経図

これにより、症状と神経圧迫の関係性がより明確となり、カイロプラクティックに科学性が取り入れられる大きなきっかけとなりました。

背骨のどの位置にサブラクセイション(干渉)が生じているかを正確に捉えることで、
本来の神経伝達を取り戻し、身体が持つ自然治癒力を最大限に発揮させることに繋がります。

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背骨のズレと神経システム

ナーブトレイシングとメリックシステム

カイロプラクティックはその誕生当初から、背骨のズレ(サブラクセイション)神経システムとの関係に注目してきました。

1906年、B.J.パーマーは「ナーブトレイシング(神経追跡法)」を発表し、続く1908年にはこの手法を体系化したメリックシステムを開発しました。

このシステムは、どの椎骨がズレて神経を圧迫すると、身体にどのような症状が現れるかを追究するもので、カイロプラクティックの診断およびアジャストメントの理論的基盤を構成しています。

ナーブトレーシング BJ ナーブトレーシング ナーブトレーシング

このように、カイロプラクティックは単なる対症療法ではなく、神経の流れと構造の関連性を深く探求する学問として発展してきたのです。

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歴史上、リスペクトされる日本人

■ 日本人初のカイロプラクター:森久保繁太郎

1907年、森久保繁太郎は日本人として初めて、アメリカのパーマースクールオブカイロプラクティックを卒業しました。

森久保繁太郎

ウィスコンシン州ラクロスで開業後わずか4カ月、森久保は免許なしで医業およびオステオパシーを行ったとして起訴されます。これは当時、カイロプラクティックがまだ正式な医療として法制化されていなかったため、多くのカイロプラクターが直面していた現実でした。

D.D.パーマーと森久保の時代背景

▲ 1900年代初頭のD.D.パーマー。カイロプラクティックの創始者です。

■ 法廷で語られた「カイロプラクティック哲学」

前年には創始者D.D.パーマー自身も逮捕されており、これを機に息子B.J.パーマーは、カイロプラクターを法的に守るためのユニバーサル・カイロプラクティック協会(UCA)を設立しました。

森久保の裁判では、著名な弁護士トム・モリスが以下のように弁護しました:

「カイロプラクティックは医業やオステオパシーとは異なる。
私たちは病気を治療するのではない。
病気の原因を取り除くのだ。」

さらに、オステオパシーを学んだカイロプラクターを証人として召喚し、次のようにカイロプラクティックの独自性を説明しました:

「カイロプラクターは神経系に関心を持ち、
オステオパシー(DO)は循環系に焦点を当てる。」

その結果、森久保は無罪となりました。この論理は後に多くの起訴に対する弁護に応用され、多くのカイロプラクターを救いました。

■ カイロプラクティック哲学の確立と「生命力」の概念

この時代の訴訟の中で、カイロプラクティック哲学は急速に構築されていきます。B.J.パーマーとその弟子たちは、以下のような信念を発展させました:

  • 「サブラクセイションは生命力(イネイト・インテリジェンス)の流れを阻害し、疾患を引き起こす」
  • 「アジャストメントはその生命力の障害を取り除く」

裁判所という法的な場で語られたこれらの哲学は、カイロプラクティックを単なる手技療法から、独自の哲学と科学と芸術を備えた療法へと昇華させるきっかけとなりました。

■ 私の学びと誇り

このエピソードは、私が塩川スクールで学んでいた頃に聞いた話としても強く記憶に残っています。

塩川兄弟がパーマー大学に留学していた際、現地の講義で「森久保繁太郎はカイロプラクティック界の英雄であり、同じ日本人として誇りに思う」と称えられていたとのこと。

カイロプラクティックを守るために戦った森久保先生の功績は、今もなお私たちの施術の土台に流れ続けています。

■ 参考資料

  • 臨床カイロプラクティック 哲学・科学・芸術 塩川満章D.C.(1999)
  • カイロジャーナル55号(2006年3月9日)
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ベットではなくテーブルを使います

■ ファーストアジャストメントで使用されたテーブル

こちらの写真は、1895年にD.D.パーマーが世界で最初にアジャストメントを行った際に使用したとされる初代アジャストメントテーブルです。

ファーストアジャストメントテーブル

このテーブルは後に2分割式に進化していきます。現在のカイロプラクティックテーブルの原型とも言える貴重な形状です。

■ カイロプラクティックで「ベッド」ではなく「テーブル」を使う理由

カイロプラクティックでは、施術の目的が「休息」ではなく、正確なアジャストメントによる神経伝達の回復にあるため、リラックス用のベッドではなく、構造的にしっかりとしたテーブル(施術台)が使われてきました。

D.D.パーマー、そして息子のB.J.パーマーの時代から、アジャストメントの正確性を支えるこの文化は受け継がれています。

■ カイロプラクティック黎明期の貴重な資料写真

以下は当時の施術スタイルや使用されたテーブルを示す非常に貴重な写真です。

D.D.パーマー 1910年

▲ D.D.パーマー(1910年)。原点にして哲学者でもありました。

1911年のアジャストメントテーブル

▲ 1911年当時のテーブルと施術風景。

プローンスタイル

▲ プローンスタイル(うつ伏せ施術)もすでに確立されていました。

B.J.Palmer BJスペシャルテーブル

▲ B.J.パーマーによる「BJスペシャル」テーブル(1934年)。

BJスペシャル 膝胸スタイル

▲ 膝胸(ニー・チェスト)スタイル。現在も一部のカイロプラクティックで用いられています。

B.J.Palmer サイドポスチャー

▲ B.J.パーマーが施術するサイドポスチャースタイル(1938年)。

■ テーブルの歴史を知ることで、技術の背景が見える

こうしたテーブルの進化は、アジャストメントという技術が「正確性・再現性・安全性」を追求してきた証でもあります。

私たちの使用するテーブルにも、この歴史的な技術と哲学が息づいています。

ぜひ、施術を受ける際はこの背景にも思いを馳せてみてください。

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